寄せされたお言葉

上映会を通じて頂いたご感想

姫田 忠義 さん (民族文化映像研究所 所長) WEBサイトへはこちらから

 狼は、日本では大正時代に絶滅したとされる。
 そしてそれは、ひたすら恐ろしい動物だという説が一般的に流布されている。が、果たしてそうであろうか。
 「オオカミの護符」と題した本記録映像作品を見た人は、どう思われるだろうか。

 多摩丘陵の一角に位置する川崎市宮前区土橋を起点としたこの作品の登場地点の人びとは、狼を「お犬さま」と呼び、その姿を印刻したお守り札(護符)をいただきに山にのぼる。
多摩丘陵のはるか西方に展開する御嶽山や三峰山などへである。

 なぜ人びとは、「お犬さま」の護符をいただきに山へ行くのか。
 この製作者たちは、その護符を受けに山へ向かう人びとの軌跡を軸にしながら、丹念にその行事の意味や、それを続ける人びとの思いや考えをたずね続ける。
 静かな、しかも粘り強い設問の持続。それが思いがけない歴史や文化の深層を浮かび上がらせて行く。

 武蔵御嶽神社で一月三日に行われる太占の神事、あるいは三峰山の遠宮で毎月十  九日に行われる御焚上げの行事(狼のまつり)など、次つぎに秘儀が浮かび上がってくるのである。
 もちろん、この作品は、それらの神事秘儀の解説映像ではない。この作品の真意は、むしろ「護符」を受けて生きる人びとの日々の想いに耳を傾けることであろう。

 ある人が言っている。「お山とは、何々山というような個別のものではなくて、総体として尊い、ありがたいといえるものだ。」
 その総体のなかに、狼という生き物の存在もあり、それと人びとの生活のかかわりの諸相も、作品のなかに浮かんでくる。

  山、動物、人、そのかかわりの総体。それを感じ取っていただきたい。この作品は、そう語りかけてくるのである。
 日本列島における狩猟、農耕など、人間生活の初源の姿もまた、この作品から感じとれる。

 この作品の起点となった多摩丘陵・土橋の地も、二十一世紀のいま、猛烈な都市化住宅化が進行し、「べーら山」と呼ぶ雑木林や竹林、狭められた農地などが辛うじて残されている状況にある。

 そういう状況をどうくぐり抜けていったらいいのか。多摩丘陵の一角を起点に、関東平野周縁の山々へも足を伸ばして行ったこの作品は、そういう課題をも私たちに提示してくれるきわめて今日的な質を備えていると私には思えるのである。

『オオカミの護符』 支援団体

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製作・配給:(株)ささらプロダクション

共同製作:(株)環境テレビトラスト 
     「オオカミの護符」製作委員会

支援 : 文化庁

後援 : 川崎市・川崎市教育委員会

協賛 : セレサ川崎農業協同組合
      土橋町内会
      (有)有劦設計
      (株)サメジマコーポーレーション
      (有)大倉商事

協力 : 宮前区観光協会
      たまフォーラム
      川崎土橋郵便局
      東京急行電鉄株式会社

制作協力: グループ現代
        民族文化映像研究所

撮影協力: 土橋御嶽講中
        馬絹御嶽講中
        寶登神社氏子中

        武蔵御嶽神社
        寶登山神社
        猪狩神社
        三峯神社

        国立歴史民俗博物館
        青梅市郷土博物館
        川崎市立土橋小学校
        たましん地域文化財団
        武州御嶽山御師家
           古文書学術調査団
    (法政大学/青梅市教育委員会)
        宮前平ハイデンス
        コトー宮前平

ス タ ッ フ

監督 : 由井 英

製作 : 小倉 美惠子  小泉修吉

撮影 : 伊藤碩男     由井  英

音声 : 河合樹香

助監督: 中嶋美紀

音楽 : 姜 小青(中国古箏)
      千島幸明(篠笛)

ナレーター: 糸 博

語り : 小倉 美惠子

題字 : 永田 紗戀

版画 : 小林 奈那

編集/録音: アクエリアム

上映スタッフ: 吉江 志づか  大江純恵

デザイン: 熊澤正人+内村佳奈
        (POWER HOUSE)
      岩井友子

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『オオカミの護符』 上映情報!

上映会の情報はこちらから ↓ もちろん映写機です!.png

次回作のお知らせ!

「オオカミの護符」に続き、ささらプロダクション第2作目「宮前の講(仮題)」を財団法人トヨタ財団の助成を受け、現在、制作中。
 詳細はブログををご覧下さい。